このところ週末になるたびに天気が崩れるのは,筆者を引きこもりにしようとする宇宙人の陰謀じゃないかと疑いつつお届けする「」の第223回は,スペースコンバットシューティング「Wing Commander Saga The Darkest Dawn」を紹介する。本作はその名のとおり,Ultimaシリーズで知られるOrigin Systemsの名作シューティング「Wing Commander」シリーズのファン達が,10年の開発期間をかけて制作したファンメイドゲームだ。今週末の予報も曇り時々雨ですって……。 Wing Commanderシリーズは,1990年に第1作が発売された人気作品で,27世紀の宇宙を舞台に,地球連邦(Terran Confederation)とキラルシ(Kilrathi)と呼ばれる異星人との戦いを描いたもの。細部まで作りこまれた世界観やストーリー,豊富に用意されたカットシーン,そして宇宙空間でのダイナミックなドッグファイトで人気を博し,多数の続編やスピンオフ作品が制作されている。 日本国内でも,FM TOWNSやスーパーファミコン,メガCDで日本語版が発売されているので,そちらをプレイしたことがあるというオールドゲーマーもいるかもしれない。個人的には,同ジャンルのゲームでは2000年代になって登場したEgosoftの「X」シリーズのほうが思い出深いのだが,それはまた別の話だ。 このたびついに完成し,無料で遊べるフリーゲームとして公開された本作は,そんなWing Commanderシリーズ本編の第3作,「Wing Commander III Heart of the Tiger」とほぼ同時期を描いた作品。プレイヤーは再び地球連邦のパイロットとなり,少数の戦闘機同士でのドッグファイトから大規模な艦隊戦が展開される戦場まで,さまざまな状況下でキラルシ軍と戦うことになるのだ。 本作には,ゲームのチュートリアルを兼ねた“Prologue”と,キラルシ軍との本格的な戦闘を描いた“The Darkest Dawn”の2つのキャンペーンが収録されている。Prologueキャンペーンは5つのミッションから構成されており,さまざまな基本操作を学びながら宇宙空間での戦い方のいろはを習得できるものになっているので,まずはこちらからプレイすることを強くお勧めしたい。筆者のように,Prologueをすっ飛ばして本編に進むと,わけも分からず広い宇宙で迷子になりかねないのでご注意を。 そんな本作の特徴として,ファンが10年がかりで作り上げたという経緯はもちろん,ハイクオリティなグラフィックスや,多数のカットシーンにボイスアクトといった,本家譲りの作りこみ具合が挙げられる。ゲームエンジンには,ソースコードが公開されているFreespace 2エンジンの改良版を使用し,Prologueを含む全55のミッションに,ファイターズクラブ RMT,合わせて約90分にも及ぶ70のカットシーン,プロの声優も参加したという221のボイス付きの役(会話テキストは1万1000行にも及ぶという),本作のために用意された90のCGモデルなど,圧倒的なボリュームを誇る内容となっている。 そのため,ファイルサイズも相当なもので,ダウンロード時のzip形式で圧縮した状態で約3,MHF RMT.3GB,インストール時には約7.1GBと,ちょっとした市販ゲームなみの巨大さだ。これだけの力作を無料で遊べるときたら,かつては次々とキラルシ軍の戦闘機を星屑に変えてきたという歴戦の猛者も,Wing Commanderの名を初めて知ったという新人隊員も,試してみるほかないだろう。 ちなみに本作は,Electronic ArtsおよびOrigin Systems,そしてOriginで本作の開発を手がけたChris Roberts氏の正式な許諾を得て開発されたものではない。しかし,言わばEA側の“暗黙の了解”のもとで制作されたという側面もあり,開発チームでは彼らに対し,深い感謝を表明している。本格的なスペースコンバットシューティングは最近めっきり数が少なくなってしまったジャンルなので,そういえば近頃,あまり宇宙で戦ってないなあという人は,さっそくダウンロードしてみよう。 ■「Wing Commander Saga」公式サイト
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